販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

スウェーデン『ファクトゥム』販売者  トーマス・オーヴィエブラット

お客さんは、愛情いっぱいに接してくれる。
まるで祖父母の家に帰ってきたみたいだよ

スウェーデン『ファクトゥム』販売者  トーマス・オーヴィエブラット

「最初にお酒を飲んだのは、7歳の時だね」とトーマス・オーヴィエブラット(66歳)は語る。「妹は4歳だった。大みそか、父が僕たちのグラスに注いだんだよ。とてもおいしそうに見えたんだよね」
 まず自分のグラスを、次いで妹のを飲み干した。その後も、クリスマス、新年、イースター、夏休みと行事のたびにこの習慣は続いた。
「父はアルコール依存症でね。10歳の時に、母は家を出て行った。まだ子どもで事態を理解できず、『父はとっても優しいのに、母はとても意地悪だ』と感じていたから、僕は父と家に残ることにした」
 庭つきの家でも家賃は安かったはずだが、父が収入のすべてを酒に注ぎ込むため、家賃を支払う余裕もなかった。
「当時一番安全と思えたのは、僕らの家から2kmほど離れたところに住んでいた祖父母の家だね。そこで食事をし、多くの愛情を得た。イチゴが植わっていてね。いくつかつまみ食いをすると僕の口の周りが真っ赤に...

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『Faktum』
1冊の値段/100スウェーデン・クローナ(そのうち半分が販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/ヨーテボリなど、イェータランド県の数都市

Text: Faktum/INSP/編集部

Photo: Malin Clausson

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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