販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

スイス『サプライズ』 販売者 マルフィーノ・クローチェ

不安で逃げ出したい衝動に駆られても
今はもう二度と人生をめちゃくちゃにしたくない

スイス『サプライズ』 販売者 マルフィーノ・クローチェ

子どもの頃のことはあまり覚えていません。きょうだいたちとは離れ離れになり、里親の元で育てられました。養母は優しく、親しみを込めて「おばあちゃん」と呼んでいましたね。
 7歳の時、きょうだいたちと一緒に再び両親と暮らし始めました。形はどうあれ、実の家族との生活が叶ったのです。
 身体に先天性の異常がある私は、数週間単位での入院を繰り返していました。病院での注射をはじめ、麻酔薬や手術は恐怖でしかなく、とにかく「逃げなければ!」とばかり考えていました。逃避したいと願う気持ちは、その後の人生にも影を落としています。
 学校を卒業すると通訳として働くため、イングランドと母国であるイタリアで語学の習得に励みました。その際、将来の妻となる女性と出会います。彼女の勧めもあり、相手方の家族とメキシコで暮らしたりもしましたが、結局欧州に戻りました。
 ほどなくして妻の妊娠が判明し、勉強を止めて働きに出ることに...

続きは、本誌をご覧ください

『Surprise』
1冊の値段/6スイスフラン(そのうち3スイスフランが販売者の収入に)
発行頻度/月2回
販売場所/バーゼル、ベルン、チューリッヒなど

Text:Klaus Petrus, Surprise/INSP

Photo: Klaus Petrus

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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