販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
スイス『サプライズ』 販売者 マルフィーノ・クローチェ
不安で逃げ出したい衝動に駆られても
今はもう二度と人生をめちゃくちゃにしたくない
子どもの頃のことはあまり覚えていません。きょうだいたちとは離れ離れになり、里親の元で育てられました。養母は優しく、親しみを込めて「おばあちゃん」と呼んでいましたね。
7歳の時、きょうだいたちと一緒に再び両親と暮らし始めました。形はどうあれ、実の家族との生活が叶ったのです。
身体に先天性の異常がある私は、数週間単位での入院を繰り返していました。病院での注射をはじめ、麻酔薬や手術は恐怖でしかなく、とにかく「逃げなければ!」とばかり考えていました。逃避したいと願う気持ちは、その後の人生にも影を落としています。
学校を卒業すると通訳として働くため、イングランドと母国であるイタリアで語学の習得に励みました。その際、将来の妻となる女性と出会います。彼女の勧めもあり、相手方の家族とメキシコで暮らしたりもしましたが、結局欧州に戻りました。
ほどなくして妻の妊娠が判明し、勉強を止めて働きに出ることに...
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE
448 号(2023/02/01発売)
特集フェミニズムの来た道
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