販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

『ビッグイシュー英国版』 販売者 ビアンカさん

お客さんから友人へ、家族のようなつき合いにも
クリスマスにつくって届けた祖国ルーマニアの味

『ビッグイシュー英国版』 販売者 ビアンカさん

『ビッグイシュー英国版』の販売に携わるようになって10年が経ちました。家族が販売をしていたこともあり、どういうふうにホームレス状態の人たちをサポートしているのか、その仕組みについては聞いていました。スタッフの対応もよく、会うといつもやさしく話しかけてくれましたしね。
 その方にある日、「あなたも販売してみませんか」と声をかけてもらいました。当時は「ええ、いいですね」と軽い気持ちで答えましたが、これほど没頭することになるとは思ってもみませんでした。
 私は28歳で、子どもが6人います。ビッグイシューのいいところは、子どもが病気の時は休みを取れて、臨機応変に予定を組めることです。
 この仕事のおかげで素敵な友人も増えました。コヴェントリー市内のウォーリック大学の前で販売を始めて、もう5〜6年になります。
 ビッグイシューのスタッフやお客さんたちとも親しくしていて、売り場ではとてもリラックスできます。お客さんからは「ジンジャーラテはどう、ビアンカ?」などうれしいお誘いもいただき、気をつけないと太ってしまうくらいです(笑)。この場所で出会えた友人やお得意さんたちを、深く愛しています。
 学生が卒業を迎える時期になると、多くのお客さんはこの街を去るので、新たに入学してくる方たちと関係を築いていかなければならないのは大変です。ですが、大学を卒業した後もいまだに連絡を取り合っているお客さんもいます。
 雑誌販売を通じて交流を深める中で、お客さんから友人となり、時には家族のようなつき合いに発展する方もいます。私はルーマニア出身なのですが、英語を教えていただくこともありますね。楽しいですよ。
 子どもたちにはいい教育を受けて、多くの物事を学んでほしいと思っています。私には叶わない夢でしたから。日曜日には子どもたちを連れて公園に行ったり、ハンバーガー屋に行ったりするんです。1週間がんばったごほうびですね。
 クリスマスにはルーマニアの伝統料理をつくって、お客さんに届けたりもしました。「サルマーレ」というロールキャベツのようなお料理です。映像では見たことがあるけれど、味わうのは初めてという方が多かったですね。おいしいんですよ。
 最近は物価高の影響で、生活は楽とはいえません。でもどうにか受け入れて、過ごしていくしかないですね。
 ビッグイシューは単なる雑誌の販売という仕事以上に、さまざまなものを私にもたらしてくれました。その中でも、お客さんとの友情には大きく支えられています。売り場でおしゃべりをするだけで、疲れている時にも元気を取り戻せました。お客さんたちが最良の人生を送れますように、心よりお祈りしています。

『ビッグイシュー英国版』
1冊の値段/4ポンド(そのうち2ポンドが販売者の収入に)
発行頻度/週刊
販売場所/北アイルランドを除く英国各都市

Text:Liam Geraghty, The Big Issue UK/INSP

Photo: Exposure Photo Agency

(Photoキャプション)

サルマーレ

Photo:George Munteanu/Alamy Stock Photo

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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