販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
セルビア『リツェウリツェ』販売者 アニカ・レクポ
アパートで暮らした、人生最良の日々
雑誌は、施設で暮らしたくない私の命綱

知人から『リツェウリツェ』のことを聞いて販売者として働き始めたのは、ちょうど新型コロナウイルスによるパンデミックが起こる直前でした。販売を始めたところで、残念ながら中止せざるをえませんでした。行くあてもなく、紹介された施設でひとり寂しく1年あまり過ごしましたが、まるで牢獄にいるようでした。
隔離が解かれた日は雨でしたが、いつでもどこへでも足を運べるという幸福感に包まれていましたね。1年あまりも施設に閉じ込められていたので、外の世界に出た時には慣れるのに時間がかかりました。
コロナ禍での隔離生活によって、ベオグラード郊外にある発達障害の子どもたちのための施設で過ごした日々を思い起こしました。そこにいる時も外に出ることが許されなかったんです。1995年のある水曜日に施設へ到着したのですが、ひどく雪が降っていたことを今でもよく覚えています。
私はセルビア北西部にある小さな町で生まれました。...

『Liceulice』
1冊の値段/200セルビア・ディナール(そのうち半分が販売者の収入に)
発行頻度/月刊
Photo:Sara Ristić
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

439 号(2022/09/15発売)
特集コロナ禍、医療崩壊と再生
スペシャルインタビュー:ミューズ / マット・ベラミー
特集:コロナ禍、医療崩壊と再生
リレーインタビュー 私の分岐点:柳美里さん