もうデニスではなく、私はミシェル。
自分自身でいられる喜びが湧き上がる

私はウクライナ出身で、８歳まで住んでいました。オーストラリア・メルボルンに移り住んだのは１９９３年のこと。初めの数ヵ月は、郊外のクレイトンサウスにあるおじの家に居候していましたが、数年後にはダンデノンという町に引っ越しました。
　ウクライナでの日々を忘れたことはありません。友人や幼稚園、学校、祖父母に、住んでいた西部の都市リビウ……。友人たちのことは今でも恋しくてたまりませんね。オーストラリアへ発つ前に彼らにさようならを告げたんです。「明日行くね」と言っても、「へぇ～、そうなの？」と信じてもらえなかった。それでも「コーラかペプシを送ってよ」って頼まれたことをよく覚えています。当時のウクライナでは手に入りませんでしたから。
　幼少時代は激しい浮き沈みがありました。13歳までに、自分はトランスジェンダー（※）だと悟りました。いつも何か違和感があったんです。学校では女子トイレに行きたい、女の子の...

続きは、本誌をご覧ください

Interview：Nick Durham, The Big Issue Australia

Photo: James Braund

ポート・フィリップ湾沿いのメントーンやソレントをはじめ、６ヵ所の町で販売を行うミシェル

Photo:Chris Putnam/Alamy Stock Photo

販売場所の一つ、ソレントの市街地

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

この記事が掲載されている BIG ISSUE

437 号(2022/08/15発売)

特集プラスチックフリーな生き方へ

スペシャルインタビュー：Wet leg
特集：プラスチックフリーな生き方へ