販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
スイス『サプライズ』販売者 トレスファレム・ゲブレミケル
娘に会いたい。投獄の恐れで帰れないエリトリア
今の“ホーム”、スイスで故郷の味を振る舞う

私は、トレスファレム・ゲブレミケル。アフリカ北東部の国、エリトリアから来ました。でも〝ホーム〟はどこかと聞かれれば、「スイス」と答えるでしょうね。13年間ここで働き、暮らしてきましたから。
スイスには真っ当な法律があり、人間らしく扱ってもらいました。エリトリアから来た者としては、それは当たり前のことではありません。軍に対して少しでも批判的なことを口にすると、裁判もなしに刑務所で数ヵ月過ごさねばなりませんから。私が投獄された時は、父が大金を払わないといけませんでした。多くの人々が何度も投獄されては保釈される現状に、エリトリアにはもういられないと感じました。
スイスに到着すると、幸運にもすぐ友達ができ、仕事を得ることができました。難民センターで仕事を紹介してもらい、半年の間レタスの真空パック詰めに携わりました。
そして冬の訪れとともに、初めて雪を見ました。寒い気候に慣れておらず外での仕事...

Text:Dina Hungerbühler, Surprise
Photo: Courtesy of Surprise
Photo: MagicBones/Shutter stock
(Photoキャプション)
トレスファレム・ゲブレミケル、47歳。チューリッヒのクルス広場と、南に位置する村キュスナハトで販売している
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

435 号(2022/07/15発売)
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