販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

チェコ『ノヴィ・プロスター』販売者 ダグマール

路上生活、人間不信、反体制運動
もう一度人生をやり直せても、今の人生を選ぶ

チェコ『ノヴィ・プロスター』販売者 ダグマール

「最近は、プラハにあるルジニー駅とルカ駅を掛け持ちで販売しています。お客さんも片方の駅に私がいなければ、もう片方の駅に探しに来てくれるんですよ」と、チェコのストリート誌『ノヴィ・プロスター』販売者のダグマールは話す。
「この服、新品だって気づきましたか? 昨日、お客さんが冬用のズボンと温かいダウンジャケットを持ってきてくれたんです。販売場所に私の犬のルンピクも連れて行きますが、お客さんたちにかわいがられていますよ」
 ルンピクとの出合いは2019年12月27日。街頭清掃の仕事をしていたダグマールは、空き箱の中に捨てられた子犬を見つけた。「空き箱からルンピクを取り上げると、おしっこを引っかけられてね。名は体を表すと言うけれど(※)、本当にいたずらっ子なんです」
 明るく話すダグマールだが、実は1年ほど前にがんと診断された。「9ヵ月ものあいだ販売できませんでした。今でも痛みがあるけれど、こうや...

続きは、本誌をご覧ください

Text:Monika Veselá, Nový Prostor/INSP

(写真キャプション&クレジット)
プラハ市内南西部にある2つの駅で販売するダグマール。ルジニー駅とルカ駅は一駅違いで、団地が多く立ち並ぶ郊外の町

Photo: Kateřina Zemanová


(雑誌情報)
『Nový Prostor』
1冊の値段/50チェコ・コルナ、そのうち半分が販売者の収入に
発行頻度/月2回(冬期は月1回)
販売場所/プラハ、ブルノなど

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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