販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
チェコ『ノヴィ・プロスター』販売者 レンカ
人生の底辺から少しずつ脱しつつある今
無事、州営団地に入居できますように

私はチェコ・プラハ北部にあるメルニークで生まれました。貧しい生活でしたね。両親は朝の3時には起きて、仕事に出かけていました。クリスマスの日も、大晦日も。
17歳からはプラハで暮らし始め、病院の清掃などいろんな仕事に就いてきました。病院では3年働きましたが、精神的につらかったです。未熟児のための病棟でしたから、よく赤ちゃんが亡くなるのを目にしました。上司からは感情移入しすぎてはいけないと言われていましたが、どうしても悲しくて。
その後結婚して出産しましたが、離婚を経験し、ちょうど同じ頃に両親が交通事故で亡くなりました。一度にいろんなことが起きたので、かなり気が動転して大変でした。
今はだいぶ調子がよくなりましたが、それでもまだ当時を引きずっています。家族で過ごす一大イベントであるはずのクリスマスも、今ではひっそりとお祝いしています。子どもは3人いたのですが、そのうち息子は亡くなりました...

Text:Monika Veselá, Nový Prostor/INSP
(写真キャプション&クレジット)
スミーホフ駅で販売するレンカ。初めて販売者になったのは16年前。今は英語を使って説明する時もある
Photo: Eliška Krátká
(雑誌情報)
『Nový Prostor』
1冊の値段/50チェコ・コルナ、そのうち半分が販売者の収入に
発行頻度/月2回
(冬期は月1回)
販売場所/プラハ、ブルノなど
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

405 号(2021/04/15発売)
特集“渡り”と“回遊”
スペシャルインタビュー:ソフィア・ローレン