販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
セルビア『リツェウリツェ』販売者 ダーコ・ラジェビッチ
目標15分、ひとりのお客さんのために使う
一回拒絶されても、後にポジティブな反応があることも

セルビア西部の町・ロズニツァの高校を卒業した僕は、首都ベオグラードで都市計画を学ぶか、第二の都市ノヴィ・サドで地理を勉強するかを迷っていました。両方の大学から合格通知を受け取ったんです。
考えた結果、ベオグラードの喧騒を離れて、人の優しいノヴィ・サドを選びました。もしかしたら現状を変えたかったのかもしれません。以前自分の身に起こった悲劇的な出来事から逃げたかったのかも。大学で新たなスタートを切りたかったのだと思います。でも結局、逃げきれませんでした。
僕は幼い頃から精神障害を抱えていました。小中学校の頃はおとなしい一方、活動過多で不安症も抱えていました。でも当時はまだ自分をコントロールできていたので、周囲の人たちは僕の障害に気づいていませんでした。
事態が悪化したのは大学生活が始まってからですね。新しい環境に慣れることができず、学業に集中することができなかった。大学3年生の頃だったで...


Text:Andjelka Prvulovic, Liceulice/INSP
(雑誌情報)
『Liceulice』
1冊の値段/200セルビア・ディナール、そのうち半分が販売者の収入に
発行頻度/月刊
販売場所/ベオグラードほか
(写真キャプション&クレジット)
アートとスタンドアップ・コメディが好きだというダーコ・ラジェビッチ。街中のイベントで講演することもよくある
Photo: Sara Ristic
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

402 号(2021/03/01発売)
特集ふくしま、10年という時間
特集:ふくしま、10年という時間
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