販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
米国『ストリート・ジン』販売者 ゲイリー・キートン
ベトナム戦争に8年、退役後PTSDと薬物依存症に 路上で“社会の一員”と感じられる販売者の仕事

「僕は『ストリート・ジン』(以下『ジン』)創刊時からの販売者なんだよ」とゲイリー・キートンは言う。この16年間、彼は『ジン』の収入によって日々を営んできたが、新型コロナウイルスによって日常は一変。2020年4月号以来、テキサス州ダラスの『ストリート・ジン』は感染リスクを避けるため販売を休止した。
「つらかったね」とキートン。「『ジン』の母体である教会などの支援がなければ、間違いなくもっと苦しかっただろうけど」。その後、『ジン』はオンラインでの購入や寄付ができるようになった。キートンはその寄付のおかげで食料を買ったり、彼の足である自転車を修理することもできたという。
『ジン』と出合った時は、薬物依存症を抱えながら路上で生活していた。「『ジン』に出合っていなければ、薬物の過剰摂取で死んでいたかもしれない」と彼は話す。その後、当時暮らしていたテント村に退役軍人省の役人が来たことで、ベトナム戦争に...

Text:Poppy Sundeen, STREETZine/INSP Photo: Courtesy of STREETZine 『STREETZine』
1冊の値段/1ドル (そのうち75セントが販売者の収入に)
発行頻度/毎月 販売場所/テキサス州ダラス
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

392 号(2020/10/01発売)
特集アップデートしたい「LGBT」
スペシャルインタビュー:蒼井 優
リレーインタビュー 私の分岐点:山内 明美さん