販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
ドイツ『ドラウセンズアイター』販売者 ロタール
ライフワークは「徒歩の旅」誰もが日々、何かを成し遂げる。必要なのは、その“何か”を見いだすこと

57歳のロタールは、販売場所のケルン市立劇場前を3ヵ月ほど空ける時がある。必需品をリュックサックに詰め、妻に買ってもらった動物のマスコットとともにひたすら歩き続ける旅に出るのだ。スマホのGPS機能は使わず、太陽の位置で方向を確認し、景色を眺めながら歩く。
「その方が多くのものが見えるのです。歩いている時は思考も変わってくるし、必然的に新しい何かを見つける機会も増えます」とロタール。湧いてきた考えや食事の時間、寝た場所まで、旅の記録はA4サイズのノートに几帳面な文字で書き記した。彼にとって徒歩の旅は「ライフワークのようなもの」。出発とは「過去に執着しないで、新たな発見をすること」だと語る。
最初の旅に出たのは2016年7月5日。ドイツ西部のケルンを出発し、北部のハンブルクへ向かい、さらにドイツ最北端のシュレスヴィヒを訪れると、高齢者施設にいる母に会い、最後はミュンヘンまで南下した。10月にケ...
(Sabrina Burbach, Draussenseiter / INSP / 編集部)
『ドラウセンズアイター(Draussenseiter)』
●1冊の値段/1.70ユーロ(そのうち0.90ユーロが販売者の収入に)
●発行頻度/月刊
●販売場所/ドイツ・ケルン
(メイン写真クレジット)
Photo: Marie Breer
(サブ写真キャプション)
旅の記録がびっしりと書かれたノート
Photos: Sabrina Burbach
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

374 号(2020/01/01発売)
特集新春エッセイ 植物の“冬を生きる戦略” 稲垣 栄洋
スペシャルインタビュー:クイーン ブライアン・メイ
リレーインタビュー 私の分岐点:菅原小春さん