販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
オーストリア・ザルツブルク『アプロポ』販売者 ソニア・ストックハマー
自然や動物が好き。野外で立ち続ける仕事、性に合っている 雑誌販売も人生も、小さなことから始めるとうまくいく

ソニア・ストックハマーのテンポに付いていくのはなかなか大変だ。先導して私の前を早足で歩いていき、執筆のワークショップでも彼女の書くスピードには驚くばかり。「テーマは何?」と私に尋ねたかと思うと、すぐさま「なるほど、じゃあこんなふうに書くのはどう?」と続ける。速く歩き、話し、書き、考えるソニア――。私の印象を伝えると、彼女はこう答えた。「だって、何を待つ必要があるの?」
このたくましい細身の女性は、20年にわたりストリートペーパー『アプロポ』を販売し、多くの書籍刊行プロジェクトにもかかわってきた。自然豊かな田舎に住み、ザルツブルク中心部のミラベル広場が販売場所だ。ソニアに会いに来る常連客も多い。「もちろん、お互いたくさんおしゃべりします」と彼女は言う。「お客さんはもう私のことをよく知っているから。私が話をしたがっているかどうかもわかるし、そうじゃない時はそっとしておいてくれる。四六時中、話す...

(Christina Repolust, Apropos / INSP / 編集部)
(人物写真クレジット)
Photo: Andreas Hauch
『アプロポ(Apropos)』
●1冊の値段/2.5ユーロ
(そのうち半分が販売者の収入に)
●発行頻度/月刊
●販売場所/オーストリア・ザルツブルク
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

367 号(2019/09/15発売)
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