販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
セルビア『リツェウリツェ』販売者 ヴェスナ・アブラモヴィッチ
不安障害で、コミュニケーションに自信がなかった。販売者となって気づいた、知られざる自分の一面

ヴェスナがセルビアのストリートペーパー『リツェウリツェ』を知ったのは約5年前のこと。同誌はその頃、メンタルヘルスの治療を受けている人やその家族の自助団体「Dusa」とかかわりがあり、ヴェスナはこの団体の理事を務めていた。
「しばらくして販売者となりましたが、私は不安障害をもっていてパニックになってしまうことがあり、人から断られたり乱暴な態度を取られたりした時に自分がどう反応してしまうか、不安だらけでした。何よりもコミュニケーション能力にまったく自信がなかったのです」とヴェスナは言う。
初めて重い不安発作が起きたのは大学生の時だった。「大学では世界文学を専攻していましたが、常に自分を疑い、何に対してもうまくこなせる自信がありませんでした」。良い点数を取れた試験もあったものの退学し、社会学を学ぶ大学に入り直したが、3年目に入ると順風満帆だった学生生活が突如変わる。「集中力を保つのが難しくなって...
(Dragana Nikolitic, Liceulice / INSP / 編集部)
Photo: Sara Ristic
『リツェウリツェ (Liceulice)』
●1冊の値段/200セルビア・ディナール、そのうち半分が販売者の収入に
●発行頻度/月刊
●販売場所/首都・ベオグラード
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
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