販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
カナダ『メガフォン』 誌 販売者 ジェラルド・“スパイク”・ピーチィ
路上の仲間のために、市議会議員選挙に立候補 「自分には発言権がない」と思っている人の声になりたい

今年10月、カナダ・バンクーバー市議会議員選挙に立候補したストリートペーパー販売者がいる。雑誌の名のごとく、スパイクは大きなメガフォンを持つかのように有権者に訴えた――路上に住む「大切な仲間」の権利のために。
「私は、『誰もが自分なりの最高の人生を送れるまちづくり』が重要視されていないことに悲しむ一人の人間です。この街では多くの人が『自分の意見なんてたいして重要じゃない』と感じているようですが、市政を担う人々は全員の意見を大切にすべきで、私は『自分には発言権がない』と思っている人の声になりたいのです」
スパイクは路上生活の経験を総動員し、市の課題と公約をまとめ上げた。筆頭に掲げたのは、ホームレスと住宅問題。裕福な人々が住宅の需要を押し上げ、その価格は何百万ドルにまで高騰している。中産階級はより安価な選択肢を求めて街を去り、貧困に苦しむ人はさらに貧しくなりつつある。
「市民は安全な住まいや住...


(Gerald “Spike” Peachey, Megaphone / INSP / 編集部)
※ 「エアービーアンドビー」は、個人が空き部屋などを提供する民泊のシステム。
写真キャプション:バンクーバーの街並み
Photo: Paula Carlson
『メガフォン(Megaphone)』
●1冊の値段/2カナダドル(そのうち1.25カナダドルが販売者の収入に)
●販売回数/月刊 ●販売場所/バンクーバー、ヴィクトリア
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

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