今月の人

ドイツ、『ヘンペルス』販売者 ユーゲン・ベッカー

犯罪者ではなく、販売者という身分になれた。自分の人生について話すのは、同じような境遇の人を励ますため

ドイツ、『ヘンペルス』販売者  ユーゲン・ベッカー

「私は自分勝手で薬物依存症のろくでなしでした。私は昔の自分が、嫌いなんです」
ベッカーは自分の半生について手厳しく話す時、「私は」という言葉で始めることが多い。そして彼は、とても早口だ。 言葉が次から次へと繰り出され、文と文が切れ目なく続いていく。彼の人生もそれと同じで、あの頃を起点にすべてがつながっている。ベッカーは過去の苦しい時のことを思い出し、「悪いことから良いことが起こったんです」とはるかに良くなった「今」に感謝している。
この夏で60歳になるベッカーは、15歳で父親を亡くした後、母親とも音信不通だったため施設に送られた。「私は手に負えない人間でした」と当時を振り返って言う。少年時代から強盗や暴力事件などを起こし、人生のうち12年を刑務所で過ごした。「だいたい2年おきでした」と言うように、出所と入所を繰り返し、薬物に依存し始める。長い間、アルコールも大きな問題だった。
その後、妻と...

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(Peter Brandhorst, HEMPELS / www.INSP.ngo / 編集部)

(写真キャプション)
ベッカーは3年前から肝臓がんと膀胱がんを患い、数回の手術を経験した

(写真クレジット)
Photo: Heidi Krautwald

『ヘンペルス(HEMPELS)』
●1冊の値段/2.20ユーロ(そのうち1.10ユーロが販売者の収入に)
●発行回数/月刊
●販売場所/キール、リューベックなど、シュレスヴィヒ・ホルスタイン州の都市

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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