販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
米国、『ストリート・ルーツ』販売者 ティナ・レイアン・ドレイク
ポートランドで本来の自分自身になれた。 希望がないとみんな言うけれど、希望こそほかの誰にも奪えないもの

米国北西部、オレゴン州最大の都市ポートランドの中心街で『ストリート・ルーツ』を販売するティナ・レイアン・ドレイク。彼女は自身の名前を、自ら名づけたという。
「ファーストネームの『ティナ』はずっと好きな名前だったから。『レイアン』は母のミドルネーム『アン』にちょっと付け足したもので、『ドレイク』は私の好きな伝説上の生き物なの」
昨年12月、この思いの詰まった名前が法的に認められ、ドレイクの公的文書には今、自認する性別が記されている。
「本当に最高の時代です」と微笑む。「ずっと自分自身を欺いてこなければならなかったけど、そんな日々とはさようなら。文字通り、胸のつかえが取れました」
その胸のつかえは、長い年月をかけて蓄積してきたものだった。4歳か5歳の頃、ドレイクはすでに内なる自分と周囲が自分に期待する役割にずれがあると気づいていた。 「男の子っぽかったことなんて一度もない」とドレイク。「いつも...

(Sophie Ouellette-Howitz, Street Roots / www.INSP.ngo / 編集部)
※1 キリスト教系の新宗教「末日聖徒イエス・キリスト教会」。セクシャル・マイノリティに対する保守的な考えで知られる
※2 モルモン教徒の多いユタ州は、結婚防護法により同性婚を禁止。13年、連邦地裁が結婚防護法を違憲と判断したものの、ユタ州政府は控訴。現在も同性婚は禁じられている
『ストリート・ルーツ』
●1冊の値段/1ドル(そのうち75セントが販売者の収入に)
●発行回数/月2回刊
●販売場所/オレゴン州ポートランド
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

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