販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
岩村弘幸さん
何度目かのビッグイシュー復帰。 これから、誰かと共に生きる人生を 歩んでみたいと思うようになった

大阪の阪急・豊中駅で販売する岩村弘幸さん(36歳)の朝は早い。寝床のネットカフェを出て、5時の始発電車に乗り、豊中駅に着くのは5時17分。そこから雑誌販売のセッティングをして、一息入れたあと、5時45分頃には売り場に立ち始める。日の出が遅い冬場だと辺りはまだ暗く、駅前でも人影はまばら。なによりこの冬は氷点下の冷え込みに幾度となく身を凍らせたが、早朝の販売は自身で決めた日課だという。
「移動の荷物が多いので、朝のラッシュの電車を避けて早めに通勤しているのですが、6時過ぎぐらいから雑誌を買いに来るお客さんもいますから。僕なりのこだわりです」
販売時間は、休憩をはさみながら午後3時45分頃までの10時間。長い時は、午後9時前まで販売することもある。1日の販売数は、平均十数冊。手作りのメモ帳には1時間単位で売れた冊数が几帳面に記録されているが、朝から夕方頃までまんべんなく数字が並ぶ。
「昔は新号が...

(写真キャプション)
阪急電鉄「豊中駅」5番出口付近にて
(写真クレジット)
Photos:木下良洋
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

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