販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
オーストリア『アプロポ』販売者 ハッピー・アクウェ
ナイジェリアから危険な海を渡り、ヨーロッパ各地を転々
在留資格を待ちながら、明るい未来を望む
ハッピーって、美しい名前ね」。初対面でそう語りかけると、彼女は笑みを浮かべた。そのかたわらで、1歳4ヵ月になる娘カリサが遊んでいる。ハッピーはシングルマザーだ。
2018年から幾度かの中断を経て、雑誌販売を続けている。オーストリアでの在留資格を申請中だが、それが無事に通るまでは定職に就けない――もうかれこれ10年待っているのだが。働けるようになったら、シェフになりたいという。
ザルツブルクに来たのは、16年のこと。彼女と数名を乗せたボートの一行は、アフリカ大陸から地中海を越え、まずイタリアにたどりついた。一緒にドイツを目指していた女性とは途中ではぐれてしまい、音信不通に。他の乗船者の消息も不明だという。
「18歳で、なぜ危険なボートに乗ろうと決めたのですか?」と尋ねると、しばし沈黙が訪れた。「どうしても移動しなければならない理由があったのでしょうね」と続けると、「そうです」とハッピーは...
『APROPOS』
1冊の値段/3ユーロ(そのうちの半分が販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/ザルツブルク
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

526 号(2026/05/01発売)
特集幸せになる“ことば”の学び方
特集:幸せになる“ことば”の学び方
スペシャルインタビュー:黒島結菜


