この夏、ホームレス・ワールドカップに出場
サッカー以外でも誰かのパスは素直に受け取りたい

今年３月から神戸のＪＲ元町駅東口で販売する黒木幸一さん（62歳）は、今夏、またとない体験をした。ノルウェーのオスロで開催されたホームレス状態にある人だけが参加できるストリートサッカーの世界大会「ホームレス・ワールドカップ」に日本代表選手として参戦したのだ。もともとサッカー経験はなく、海外渡航も初めてだったが、話題は自ずと黒木さんがキーパーの脇を打ち抜いた見事なゴールシーンの話になった。
「あんなのは練習でも滅多にない。仲間がぎりぎりまで相手を引きつけてくれて、絶妙のタイミングでゴール前の自分にここしかないという神パスをくれた。足を振り回したら僕はどこにボールが飛ぶかわからないので、とにかく普通に、素直に蹴りました」
　そう言って、黒木さんは照れくさそうに笑うが、なにも神パスはサッカーに限ったことではない。「帰国してからも、ビッグイシューのシェア本屋で店番をしたり（※）、学校やコンサート会場...

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