販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
カナダ『メガフォン』販売者 リチャード・ヤング
精神保健福祉法からこぼれ落ちた命
薬物の解毒治療やカウンセリングは可能ではなかったか

リチャードが『メガフォン』誌にかかわるようになって、もう7年になる。当初は雑誌販売者として、今では同誌編集室のピアスタッフ(※)を務め、記事も執筆している。そのかたわら、彼は教会のボランティアを引き受けたり、チャイナタウン周辺で〝人に優しいコミュニティづくり〟に参加したりと大忙しだ。リチャードが自身の体験を語る。
昨年8月、私はバンクーバー東部のダウンタウン・イーストサイド地区で、薬物使用後に捨てられた注射針やごみを拾う活動をしていました。ある時、一緒に見回りをしていたキャスリーンと私は、まだ10代半ばと思しき子どもがバス停のベンチに座っているのを目にしたのです。
「大丈夫かい?」と声をかけると「ああ、平気だよ」という返事。とは言うものの、その子は自力では立ち上がれないようでした。救急車を呼ぶために「911」へ電話したところ、代わりに警察が到着しました。
警官とのやりとりから、その子...

『Megaphone』
1冊の値段/5カナダドル(そのうちの3.5カナダドルが販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/バンクーバー
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
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