販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

『ビッグイシュー日本版』横田次郎さん

妻子を事故で失い、放浪の旅に
調理師大会ハンバーグ部門2位の腕前

『ビッグイシュー日本版』横田次郎さん

ある時、スーパーに買い物に行ったら、足が自分の意思とは関係なく勝手に走り出したんです。そのまま物に激突して、もう頭は真っ白。ほんとに怖かったです」
 大阪のJR天満駅商店街付近で販売する横田次郎さん(71歳)は、昨年の夏に起きた奇怪な体験をそう振り返る。倒れたあと、救急車で運ばれ、緊急手術。検査結果は軽度のパーキンソン病との診断だったが、手を骨折して包丁を握れなくなったことで、長年勤めた調理場の仕事を辞めざるをえなくなったという。
「パーキンソン病にもいろいろあるみたいで、自分の場合は薬と通院で改善しました。今は包丁も握れる。あの時は、自分も半ば投げやりになっていましたね」
 ビッグイシューも、最初は売れるわけないと思っていた。が、いざ街頭に立ってみると、1~2時間で7冊が売れ、手応えを感じた。特に天満は一見客がほとんどだが、気前のいい人も多く、時間帯によって変化もあるため、1日立っていて...

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※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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