販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

『ビッグイシュー台湾版』販売者 劉子承

新しい苦難がやってきても、
それをみんなで乗り越える時、大きな満足感がある

『ビッグイシュー台湾版』販売者 劉子承

待ち合わせ場所に行くと赤いTシャツが目に飛び込んできた。2月の台北はもう25度を超える陽気だ。
 日本から取材に来た筆者が「今日は時間をとっていただいて、ありがとうございます」と通訳を介して告げると、「大丈夫」と日本語で返ってきた。劉子承さん(40歳)は大の日本文化好き。これまでも苦しい時には、日本のドラマやアニメに勇気づけられてきたという。
『ビッグイシュー台湾版』の販売を始めてもう12年になり、現在は観光客の多い永康街を売り場にしている。「これまで4つの場所で販売してきました。『台湾版』は若い人の間で知名度が高く、人気なんですよ」
 劉さんがホームレス状態に陥ったのは20歳頃のことだ。台湾新北市の板橋区で育ったが両親を亡くし、サポートしてくれていた祖母もほどなくして亡くなった。唯一の頼りであった叔母も精神科病院に入院。一人っ子の劉さんには頼れる親族がいなかった。
 政府機関である「台北...

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『ビッグイシュー台湾版』
1冊の値段/150台湾元(そのうち75台湾元が販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/台北、桃園、高雄など

Text & Photo: 八鍬加容子 Interprete: 楊孟珣

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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