販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
『サプライズ』販売者 テクル・テウェルデ
一日の終わりに、肘を合わせて挨拶
これは私にとって「安全なホームがある」という意味

長いこと、朝の挨拶は壁をコンコンとノックすることで済ませてきました。訳あって刑務所におり、発砲音が聞こえてきても「お隣さん」はまだ生きているか確認するのが日課だったのです。エリトリアの独房にいた2年間は、そんな日々でした。ルールなんてありませんでしたね。どのくらい独房で過ごさねばならないのか、いつ銃を持った警官が近づいてくるかと考えて、心落ち着く時はありませんでした。
2年後に釈放されたのですが、その間に妻の消息は途絶えました。友人によると、政府に狙われることを恐れてスーダンに亡命したということでした。その後、従軍を要請する手紙が届いたのをきっかけに、私も国を後にしました。そしてスーダンの難民キャンプで、リビアからイタリア経由の地中海ルートで妻がスイスに渡ったと知りました。
その後、妻の難民申請が受理されたので、私も家族としてスイスに住むことができるようになりました。心から安堵した瞬間...
『Surprise』
1冊の値段/6スイスフラン
(そのうち2.7スイスフランが販売者の収入に)
発行頻度/月2回刊
販売場所/バーゼル、ベルン、チューリッヒなど
Photo: Surprise
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
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