販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

イギリス『ビッグイシュー英国版』販売者 アリナ・バボイ

子育てにも融通が利く、販売者の仕事
人や人生をより深く理解できるようになった

イギリス『ビッグイシュー英国版』販売者 アリナ・バボイ

シェイクスピアの故郷として世界的に知られており、年間250万人もの観光客が訪れるイングランド中部のストラトフォード=アポン=エイヴォン。この地のロイズ銀行前で『ビッグイシュー』を販売し始めてから、もう7年になります。
 販売者になろうと思ったのは、生活費を稼ぐために始めやすいと感じたからです。最初の子どもを授かってから、家で子どもの面倒を見てくれる人を見つけることができませんでした。ビッグイシューなら、子どもの状況に合わせて働けると思ったのです。
 私はバーミンガムに住んでいるので、電車で45分かけて販売場所まで通勤しています。仕事が休みの時は子どもたちと教会に行ったり、料理をしたり。伝統的なメニューを作るのも好きですが、時には冒険もします。新しいレシピに挑戦するのは、楽しいものです。
 実は、妊娠中も雑誌の販売をしていました。売り場の近くにはベンチがあって、疲れたらそこに腰かけていましたね。ジュースやフルーツなんかを差し入れしてくれるお客さんたちもいました。
 今では2歳、4歳、7歳の3人の子どもたちに恵まれました。基本的には水曜日から日曜日、朝10時から夕方4時まで販売していますが、時に子どもの事情で販売場所に出向くのが遅れたり、早く家に帰らないといけないこともあります。こうしたことに融通が利くのが、この仕事の良いところです。
 雑誌販売を継続しお客さんと交流を続けるうちに、互いのことをよく知り合うようになりました。私もコミュニティの一員だと感じるんです。観光地で販売することには、多くの観光客に恵まれるメリットがありますが、やはり地元のお客さんとの交流はうれしいものです。みなさん、とても友好的で手助けしたいという気持ちを持っています。おしゃべりするうちに、友人のような存在になっていくのです。
 コロナ禍で販売場所に立っていないと、お客さんたちにとても心配されました。苦しい時期はビッグイシューが支援してくれましたし、ロックダウンが解かれると多くのお客さんが助けてくださいました。オンラインでの購読を通して私を応援してくださった方もいます。
 雑誌購入の他にも、子どものためにお菓子を届けてくれたり、コーヒーを一緒に飲んだりすることもあります。一緒にベンチに座って、おしゃべりしながらね。社交の場が生まれるというのは、雑誌販売の素晴らしい一面だと思います。
 うわべではとても幸せそうに見える人にも、彼らなりの人生の問題を抱えていることがあります。販売者として働く中で、人や人生というものをより深く理解することができるようになったと思います。

Interview:Liam Garaghty, The Big Issue


Photos: Exposure PhotoAgency

(Photoキャプション)

アリナ・バボイ、25歳。住んでいるのは、販売場所から北に位置する都市バーミンガム

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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