販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

アルゼンチン『エチョ・エン・ブエノスアイレス』販売者 ヨルグ・ガジーバ

雑誌販売を続けることは、確かな礎を築くこと。
今では自分の食べるものを選ぶことができる

アルゼンチン『エチョ・エン・ブエノスアイレス』販売者 ヨルグ・ガジーバ

ヨルグ・ガジーバこと〝エル・コロ〟は大学3年生の時、病によって学業を断念せざるをえなかった。「ものが二重に見えるんだ」と、分厚い眼鏡の奥で彼の目が曇る。緑内障により、ガジーバは建築学科の学問から離れるしかなかったのだ。以来、眼圧を下げるための目薬が欠かせない。
 それからは首都ブエノスアイレスの南に位置する都市ラヌースで、フォークリフトを操る仕事に就いていた。だがその会社が1997年にアルゼンチンを去ってからは、路上生活を余儀なくされた。「もし彼らに、従業員の生活を保障するという考えがあったなら、僕が路上生活に陥ることはなかっただろう」とガジーバは嘆く。
 しかし「路上生活は、僕の人格に影響を与えなかった」と彼は言う。自分はいつも同じ人格を保っていた、と。一方でホームレス状態はもう「過去のこと」で、「二度と戻りたくない」とも言う。『エチョ・エン・ブエノスアイレス(略称 HBA)』誌のスタ...

続きは、本誌をご覧ください

Text:Gabriel Busteros, Hecho en Bs. As./INSP
* 雑誌名の『エチョ・エン・ブエノスアイレス』は、「メイド・イン・ブエノスアイレス」という意味
(雑誌情報)
『Hecho en Bs. As.』 
1冊の値段/130アルゼンチン・ペソ(約160円)。そのうち90ペソが、販売者の収入に
発行頻度/月刊
販売場所/ブエノスアイレスと、その近郊

(写真クレジット)
Photo: Roberta Rios

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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