販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
『ビッグイシュー台湾版』販売者 クエン・フア・シウ
平穏な人生、それが今一番ほしいもの 数え切れないほどの仕事に就いた後、再び販売者に

会うのが久しぶりだったせいか、白髪が目についた。創刊まもない2010年3月に初めて販売者登録をしたクエン・フア・シウは、左足に障害があるため今では中古の電動スクーターに乗っている。聞けば、友達から1万2000台湾元(約4万4千円)で手に入れたという。これで移動が自由にできる。にもかかわらず、なぜ再び『ビッグイシュー台湾版』の販売者になろうとしたのか――フアに聞いてみたかった。
「『台湾版』を去ってから、数え切れないほどパートタイムの仕事をこなしてきたよ。でもどれも長くは続かなかった」とフア。「一番最近の仕事は、ショッピングモールのフードコートでの皿洗いの仕事だね。1年ほどしたけれど仕事は大変で、いつも上司のお情けにすがるような状態だった」。安定した収入は望めたが、最終的に辞める決意をし、昨年11月に『台湾版』の販売者として再び働くことになった。
「ここではもっとフレキシブルに働けるし、雑用...

Text:Yu-ruei Lu, The Big Issue Taiwan / INSP
『ビッグイシュー台湾版』
1冊の値段/100台湾元、そのうち50台湾元が販売者の収入に
発行頻度/月刊
販売場所/台北、桃園、高雄など
(写真クレジット) Photos: Yu-ruei Lu
(写真キャプション) オレンジの販売者ベストを着て販売するクエン・フア・シウ 販売場所の頂渓駅。夕方からは、近くの夜市がにぎわう
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

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