販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
スイス『サプライズ』販売者 ラドミール
雑誌を使ったジャグリング、ダンス、スマイル 5年で3作、小説も書いた

生まれつき苦労の絶えない人生を送っています。私が生まれたのは紛争中の旧ユーゴスラビアで、生後間もなくは人工呼吸器の助けが必要でした。家族でスイスへと避難した後、育ったのはチューリッヒの近郊です。よそ者ゆえに周囲とうまくなじめず、気難しいところのある少年でしたが、自己主張せざるを得ない状況に置かれたことで強くもなれました。過去は過去と割り切り、今と未来を大切にしています。
最近はまた違った種類の悩みを抱えています。社会の構造や従うべきルールの数々に、疑問を感じるばかりなのです。労働市場や家庭内、友人同士の間にも差別はひそんでいて、その解消こそが真に重要なことではないでしょうか。私のような“周りと違う人”というのは、社会の価値観によって創り出されているだけだと思うのです。
『サプライズ』誌の販売が今の仕事です。バーゼル駅での販売を始めて1年が経ち、多くの方に覚えてもらえるまでになりました。雑誌...

(Georg Gindely, Surprise / INSP)
※ 複数の物を空中に投げて取ることを、巧みに繰り返す技術
(人物写真キャプション・クレジット)
スイス・バーゼル中央駅で販売するラドミール、28歳
Photo: Matthias Willi
『サプライズ(SURPRISE)』
●1冊の値段/6スイスフラン(そのうち2.7スイスフランが販売者の収入に)
●発行回数/月2回
●販売場所/バーゼル、ベルン、チューリッヒなど
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

379 号(2020/03/15発売)
特集“移民社会”を生きるヒント
スペシャルインタビュー:ジュード・ロウ
リレーインタビュー 私の分岐点:中村 一義さん