販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
中本肇さん
10年の介護生活、仕事に復帰するも会社は倒産。 しかし、2年以内には社会復帰を果たしたい

大阪・堺市の地下鉄御堂筋線「なかもず」駅を地上に上がると、ロータリーを挟んだすぐ西側に南海電鉄と泉北高速鉄道が乗り入れる「中百舌鳥」駅がある。その距離、わずか30~40m。駅から駅へ、乗り換え客が足早に通り過ぎるその連絡通路が中本肇さん(60歳)の仕事場だ。昨年7月に販売者登録していくつかの売り場を経験した後、10月からこの売り場に立っている。
「ここを通る人はみんな電車の乗り換えで急いでいるから、駅前だけど周りにはお店も少ない。特に朝のラッシュ時はすごくて、人の波がドーッと走って私の脇をすり抜けていくんです」
まさに脇目もふらない通勤のためにあるような場所だが、意外にも中本さんの前で立ち止まる人は少なくなかった。初めて立った日に手持ちの雑誌が売り切れ寸前となり、最初の3ヵ月は貯金ができるほどの冊数を販売。定期的に購入してくれる常連客も思いのほか多かった。雑誌だけでなく、毎日のように声をか...

(写真キャプション)
なかもず駅。南海&地下鉄連絡通路
(写真クレジット)
Photos:木下良洋
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

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