販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
佐々木博さん
自分の気持ちに寄り添ってくれた青年の存在が、今の生き方につながっている

平日の昼過ぎだというのに人通りが途切れることのない、新宿駅南口の「ルミネ1」前。佐々木博さん(52歳)がそこに立つのは、火曜日を除いた朝11時から夕方6時までだ。
キリスト教会の運営の手伝いと販売をかけ持ちしている佐々木さんの朝は早い。週の半分は、朝の礼拝の準備のため、4時半に起きる。火曜日は、水曜日に教会の外で行われる礼拝と、炊き出しの準備と片づけに追われる。休みの日はないが、つらいと感じたことはないという。
出身は福島。父親は腕利きの料理人、母親は父親が働く旅館で仲居をしていた。山奥の旅館だったため、幼稚園に通う頃には父方の親戚の家に預けられていたという。
「親戚の家では可愛いがってもらったし、休みのたびにプレゼントを持って親が来てくれました。一人っ子でずいぶん甘やかされていましたね」
中学2年生の時、両親が離婚。父親も母親も離婚後すぐ、再婚した。佐々木さんは、旅館を辞めてホ...

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

276 号(2015/12/01発売)
特集子どもの貧困 生まれる「子ども食堂」