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「ダイバーシティカップ」7月開催に向けて─後編

多様な背景や年齢を超えてつながる、 ストリートサッカーの可能性

「ダイバーシティカップ」7月開催に向けて─後編

ビッグイシュー基金が応援する、ホームレスサッカーチーム「野武士ジャパン」。前回の記事では、住居や仕事だけでなく希望を失った人にとって、サッカーが人とのつながりや生きがいを取り戻すきっかけになっていることを取り上げた。今回は、ホームレスという枠を超えて、若年無業者、うつ病などさまざまな社会的困難を抱える当事者が参加する、7月4日開催の「ダイバーシティカップ」について紹介したい。


それぞれの背景を超えた、
「サッカー仲間」という関係

 現在、「野武士ジャパン」の練習には、ホームレスの人だけではなく、多様な課題を抱えた当事者のメンバーが参加している。池袋を中心に精神障害などを抱えたホームレス状態の人を支援する「東京プロジェクト」や、うつ病からの社会復帰をサポートする「リヴァ」など、普段は別々の支援団体につながっている人たちが、ともに練習で汗を流す。
「東京プロジェクト」から参加しているメンバーは、「最初は誘われて来てみたけれど、人数が増えると練習が盛り上がると歓迎されたのがうれしかった。今は、サッカーも仲間との交流も両方楽しくて参加している」と話す。通ううちに「相手のボールを奪えるようになりたい」という目標もできた。月2回の練習は、ホームレス状態の間に失った生活のリズムを整えることにも役立っているという。支援団体のつながりでもなく、支援する側/される側でもない、“サッカー仲間”というフラットな関係がコートで生まれている。

うつ病や視覚障害など、
多様なチームとの交流を経て

 野武士ジャパンは、2011年以来、ホームレス・ワールドカップには出場していないが、国内でも年一回のチャリティカップ開催のほか、他団体との交流試合を行ってきた。
 前述したリヴァの利用者によるフットサルチームとは、12年9月に初めての交流試合が実現。最初は、互いに緊張しながらボールを蹴っていたが、次第に「うつ病は大変でしょう」「僕もホームレスになる手前だった」など、悩みや目標を共有するほど打ち解けていった。この交流試合以降、リヴァのメンバーとは合同練習を行っている。
 また、12年11月には、日本ブラインドサッカー協会の「ダイバーシティフットサルDay」にも参加。ブラインドサッカーとは視覚障害者のためのサッカーで、この大会では、弱視のチーム、精神障害の当事者・支援者チーム、野武士ジャパンの3チームによる交流戦を実施した。大会が開催された大久保公園周辺で暮らすホームレスの人、近所に住む外国人なども、会場で一緒になって試合を応援した。サッカーを通じて、さまざまな背景の人が同じ思いでつながる場が生まれたのである。こうした経験が、今回の「ダイバーシティカップ」開催のヒントとなっていった。

約15チームが参加する
「ダイバーシティカップ」

 現在、野武士ジャパンは、「ダイバーシティカップ」という新しい目標に向け、本格的な練習をスタートさせている。メンバーの一人は「今回の大会で一点を決めること、そして仲間を増やすことが目標」と意気込む。
 大会には、若年無業者やひきこもり、うつ病の当事者、就労困難者や被災地の若者など、さまざまな課題を抱える当事者が集まり、約15チームが参加予定だ。多数のボランティアが運営を行い、誰でも自由に観戦・応援できる。メンバー同士だけでなく、運営する人、応援をする人、それぞれがお互いの背景や立場、年齢を超えて、「サッカー」を軸につながっていく。ここから、どんな交流が生まれるかが楽しみだ。
 ダイバーシティカップは、7月4日(土)に代々木公園フットサル場で開催予定だ。詳細は決定次第、本誌や基金ホームページ、野武士ジャパンのホームページ(http://www.nobushijapan.org/)などでお知らせする。
 参加するメンバーたちの勇姿を応援しに、ぜひ会場に足を運んでほしい。

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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