今月の人

今月の人 番外編

10年の歩みをもとに、 販売者がまとめる「販売の心得」(仮案)

今月の人 番外編

2013年9月11日、『ビ2013年9月11日、『ビッグイシュー日本版』は創刊10周年を迎えます。
登録した販売者は延べ1474人、販売者へ提供した収入は8億690万円となりました(2013年4月末現在)。この10年間、一人ひとりの販売者が読者のみなさまに支えられて、歩み続けてきました。本当にありがとうございました。
そして、節目となる今年、販売者は10年の経験を集め、「仕事」としてのビッグイシューの販売のあり方をまとめてみようと考えています。
その話し合いのプロセスと、「販売の心得」(仮案)を報告します。


3月から7月にかけて
大阪と東京で販売者が議論

今年の2月、販売サポートスタッフが大阪と東京の販売者へのヒアリングを始め、原案を作成。3月から7月にかけて計7回、大阪と東京で販売者による会議で議論を重ねました。
6月には、大阪・東京の販売者を代表する委員会を設置。7月末、インターネット電話を利用して大阪・東京の委員会の合同会議を開き、「販売の心得」(仮案)を作成しました。
約半年間の議論の中では、いくつかの論点があがりました。
「自分たちだけでなく、これから先の販売者が困ることのないように」と、各項目の文言について、「“目標”という言葉から“人生の目標”と受けとめられないか。“販売や仕事の”という言葉を入れるべきでは」「“身だしなみ”は人によって受け止め方が違わないか。始めたばかりだと難しいこともある」「道案内などの手助けは常に歓迎されるわけではないし、ケースバイケース。“必要に応じて”という言葉を入れた方がよいのでは?」など細部にわたり、熱のこもった丁寧な議論がなされました。
また、「大阪と東京の販売者だけで決めるわけにはいかない。ある程度の案をかためたところで、全国の販売者の意見を聞いて決めよう」という意見も多くあがりました。
東京の会議では、「社会への発信」の点で意見が分かれました。「仕事をする上ではあたりまえのことばかり。自分自身で心がけることは大切だけれど、あえて発信するまでもないのでは」「本誌での発表はよいけれど、インターネットでの発信には抵抗がある」という慎重な意見がありました。
一方で、「10年分の成果の発表になる」「自分たちがきちんと仕事をしていることを理解してもらえるのではないか」という意見もあり、「誌面を通じて発信する」という方向で議論が進みました。
他方、大阪では、販売に支障のないようにと、朝7時から委員会メンバーとスタッフでの朝食を共にしながらの会議を2回実施。「社会への発信」に関する東京の意見をふまえ、「発信するからには、誇りをもって仕事をしていることをきちんと理解してもらえるようなものにしないといけない。各項目の検討にとどまらず、前文も考え直そう」という提案がされました。
原案の前文を抜本的に書き換える議論が委員会メンバーによって行われ、ここで話し合われた内容が現在の仮案の前文の骨格をなしています。

販売を「仕事」として伝えたい
あたりまえのことをがんばる

大阪の販売者主催の10周年記念イベント(9月2日)に、大阪の委員会代表として参加する井手満男さんは「販売者の意見はみな違います。けれど、境遇が似ている分、共通した思いのようなものはあって、同じ方向を向いていたと思います。お客さまには、販売者一人ひとりが地道にがんばっていることを知ってもらえたらと思っています。応援してくれたらうれしいです」と話します。
東京から委員会代表として参加する花渕信さんは「会議を通じて、ビッグイシューの販売をきちんとした『仕事』として伝えたいという思いは共通していると感じました。お客さまの中には、これを読んで“仕事としてちゃんとやってるんだな”と思う人も、“あたりまえのことだ”と思う人もおられると思います。たしかに“あたりまえのこと”だけれど、それを目指してがんばっているんだな、と伝わるといいなと思っているんです」と振り返ります。
この9月2日のイベントでは、大阪・東京の委員会の代表者から、「販売の心得」(仮案)作成の経緯と現時点での仮案の報告がなされます。
今後、大阪・東京以外の全国の販売者の意見を聞きながら議論を詰め、最終的なかたちにまとめていく予定です。


販売の心得(仮案)
 私たちは住む家を失ってしまいましたが、ビッグイシューを販売することで、もう一度立ち上がって、住居を借りて、就業し、自立できるようにがんばっています。私たち販売者は応援してくださるお客さまの期待と信頼にこたえるよう、以下の7ヵ条を心がけて仕事(販売)をします。
・自分で販売時間を決め、その時間には必ず販売します。
・お客さまに気持ちよく買っていただけるよう、いつも身だしなみをととのえます。
・自分の売り場を大切にします。このため売り場のごみ拾いや、周辺で仕事をする方々とお互い心地よく仕事ができるよう努めます。
・お客さまへは心をこめて接客し、道行く人へは朝夕のあいさつや会釈などをします。
・半歩先の販売や仕事の目標を自分で決めて、もつようにします。
・いつも街角で働く者として、必要に応じて道案内や身体の不自由な人の手助けをするなど、町を居心地よくするよう努力します。
・路上は人々が出会う公共空間。さわやかな街角の風景となれるよう、誇りをもって仕事をします。

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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