今月の人
川島経男さん
住所がなくても仕事ができ、その日から収入を得られる 「本当に助かった」

冬の冷たい風が吹きつける中、京都・三条河原町交差点西側の歩道に川島経男さん(49歳)が立っている。左手に最新号、右手にバックナンバーと2冊を掲げ、商店街を行き交う人にアピールしている。
「僕は人と世間話をするのが、あんまり得意じゃないんです。それでも最近やっと、何度も本を買いに来てくれるお客さんとは少し話ができるようになってきたかなあ」
大阪で生まれ育った川島さんは、高校卒業後に組立工として工場で働き始めた。ところがその工場で事故が発生、亜鉛ガスを吸ってしまう。手のしびれなど身体の不調が現れた川島さんは3ヵ月ほど入院を余儀なくされ、結局退職することに。体調が戻った後は、いくつかのアルバイト先を転々としたが、働きぶりが認められて衣料系の会社で社員として採用された。しかし、2年が経った頃に椎間板ヘルニアを発症、業務に支障をきたすようになり退職した。
「この頃は一人暮らしをしていたから家賃...

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
『今月の人』が掲載されている BIG ISSUE

208 号(2013/02/01発売)
特集わかもの包摂― 若者就労支援の最前線