今月の人

新春座談会【前編】

流されて生きるのではなく、 自分で流れを作れるようになってきた

新春座談会【前編】

いよいよ2013年が幕を開けた。新年最初の
「今月の人」は、「新春座談会・前編」と称して、
関西の販売者さん4人とともに昨年を振り返りながら
今年を見据え、次号の「後編」にて、未来を見つめます。

昨年は、売り場開拓に、
双子の兄弟で販売者デビュー!?

―昨年はどんな1年でしたか?
井上 僕は元の売り場だった大阪の豊中を離れて、新しい売り場の奈良を開拓したのが大きかったかなぁ。おっかなびっくりだったけれど、地域の人が思いのほか温かく迎えてくれたので、幸先いいスタートを切れました。
2月から5月末までは大阪・西梅田の共同店舗(※1)の販売メンバーに加わったんですが、そこでの売り上げが好調で貯金ができたのがよかったな。目指すは100万円(笑)! 石井 僕も6月から9月末まで共同店舗のメンバーに加わって貯金ができたことで、目標だった東京行きも実現できた。
僕は2011年の七夕に販売を始めたので、販売者としては2年目に入ったんです。今の売り場である大阪の千里中央で販売し始めてから1年が経ち、お客さんの90パーセントはもう顔を覚えましたよー。同じところに長く立っていると、最初は「ビッグイシューのお兄さん」だったのが、今では「石井さん」って名前で呼んでもらえるようになった。うれしいですよねぇ。千里中央にすごく愛着が湧いたし、他の場所で売るなんて今は考えられないかな。
柳原 僕は去年の8月ビッグイシューの販売者となったことで、堕落していた人生を取り戻すことができたと感じてる。おととしの今頃は、仕事もせず家も友人宅を転々として、将来がまったく見えなかったから。ぼーっと時間が過ぎていく感じで、一日がとても長かった! でも今は、毎日する仕事があって、「生きてる!」って心から思いますね。
井手 僕はちょうど柳原さんと同じ日に販売者になったんですよ。僕が午前に事務所を訪れて、柳原さんがその日の午後に訪れて。
井上 まるで双子の兄弟!(笑)
井手 そうそう、僕が兄で、柳原さんが弟で(笑)。8月に販売者になって半年弱ですが、最初に立てた一日の売上目標は達成できたかなぁと感じてます。流されて生きるのではなくて、自分で流れをつくれるようになってきたこともあり、一日一日を大事に感じるようになったかな。
―新しい年が始まりました。みなさん、年始の販売はどうされるんですか?
一同 4人ともお正月から販売しています。みなさん、お待ちしております~(笑)。

余裕なくなっている路上
だからこそうれしい
ニコッと挨拶

―みなさん、販売場所にはどれくらいの時間立たれているんですか?
井手 今はだいたい14時間ほど立っているけど、ずっとサービス業をしていたので長時間の立ちっぱなしは慣れてます。販売場所を離れるのは食事とトイレの時だけかな。
石井 日によるけど、だいたい12時間かな。僕は販売場所と寝床の往復は、1時間少しかけて自転車で通っているので、冬の帰り道はちょいとつらい(笑)。
柳原 販売者になったばかりの頃は、長く立ち続けると足がパンパンに腫れてたな。今はいいマッサージ法や屈伸運動の仕方も覚えて、だいぶ楽になりました。
井上 ある程度の売り上げを目標にすると10時間は立たないと難しいもんね。 ―販売場所では、どんなことを考えているんでしょうか?
井手 ビッグイシューの販売をし始めて驚いたのが、道行く人が、意外に冷たい視線を投げかけてくること。昨年末の選挙前には、まるで僕が存在しないかのように、目の前で垂れ幕を張って演説を始める人もいたりして……。
昨年10月には、まさに僕の売り場周辺でホームレス襲撃があったけど、不景気だから、みんな余裕がなくなっているのかな……。37年間生きてきて、こんな待遇をされたのは初めてで、正直戸惑った時もありますね。
柳原 逆に、雑誌を買わない人でもニコッと挨拶だけはしてくれる人もいて、そういう時はホント、ホッとするよね。
井手 そうですねぇ。
 僕は今、ツイッターを使って「1万人リツイートキャンペーン」(※2)というのをやっているんです。そのツイッターを見て買いに来てくれた人もいて、うれしかったですよー。今年もITを有効に使って宣伝して、僕だけじゃなくビッグイシューの全体的な売り上げアップにもつながれば、こんなにうれしいことはないですよね。

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

『今月の人』が掲載されている BIG ISSUE

BIGISSUE 206号

206 号(2013/01/01発売) SOLD OUT

特集「縮小社会」を生きる

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