販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
ハルヴィン・ジョーンズ
路上で寝るのは危ないから、夜道を歩く
「一生懸命に働けば、道が開かれると信じて」

デンバー市の人々が眠りにつく頃になると、ハルヴィンは夜道を歩き始める。住宅バウチャー(家賃補助金の受給資格)が失効してからというもの、彼は不安定な路上生活を余儀なくされている。
「昼間にバス停や道端で数時間、なんとか仮眠を取っているけれど、心身はいつも極限状態。以前、夜中に路上で寝ていたら強盗に遭って、下着以外、身ぐるみ剝がされたことがあったんだ……それ以来、夜に目を閉じると何か危ないことが起こりそうで、つい警戒してしまう。だから、気分を紛らわせるために歩くんだよ」
アパートを失って以来、ハルヴィンの暮らしは悪循環の一途をたどった。ソーシャルワーカーの助けを借りて、家賃補助の申請書類を何度もチェックして完成させたにもかかわらず、役所で「不備がある」とにべもなく拒否された。発達障害を抱える彼は社会保障給付金を受け取っているが、あらゆる書類手続きが難しい。「小さい頃から特別支援教育を受けてき...

『Denver VOICE』
1冊の値段/2ドル(そのうちの1ドル50セントが販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/コロラド州デンバー
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

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特集人間と薬物。そのつきあい方
特集:人間と薬物。そのつきあい方
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