販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
ドイツ『ドラウセンザイター』販売者 ハンス・バールス
お客さんがいるからこそ、私にも居場所がある
夢は、リクシャーで雑誌の宣伝やツアーガイドをすること

私は今65歳で、ケルンに住んでいますが、ホームレス生活を送るようになって約1年が経ちました。テントや防水シート、寝袋などの荷物は、自転車に積んで運んでいます。もちろん、修理用の工具も忘れずに。何より大切にしているのは、4年前に購入したノートパソコン。といっても、インターネットはつながりませんし、ワープロ機能があるわけでもありません。でも、これから改良していけばいいんです。人生をうまく乗り切るコツは、ポジティブに考えることですから。
私は1960年に、この街で生まれました。幼い頃から自転車でよく出かけて、家族に頼まれたお使いで父にはビールを、母には水を、自分にはソーダやアイスクリームを買うためにキオスクまで走ったりしました。顔なじみの店員さんに「今日は何味にする?」と聞かれたら、私は決まって「Sサイズのミルククリームをください」と答えるのですが、いつも山盛りにしたアイスクリームをサービス...

『Draussenseiter』
1冊の値段/3.40ユーロ
(そのうちの2ユーロが販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/ケルン
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

507 号(2025/07/15発売)
特集デジタル民主主義
スペシャルインタビュー:マイケル・シーン
リレーインタビュー:作家 葉真中顕